残業時間や有休日数で「働き方改革」は勘違い。
どうも。
sho-ichiです。
「働き方改革」が叫ばれる昨今ですが、皆様の働き方は改革されてますか?
ノー残業デーが設けられたり、
義務化もされたので有休を最低5日は取らなければいけなくなったり…
そういう意味では、既に「働き方改革」の波からなんらかの実質的な影響を受けている人は多いと思います。
ちなみに、予め誤解が無いように補足しておきますが、ノー残業デーを設けることや、有休取得が促進されること、これ自体について、私は悪くない取り組みだと思っています。
だから今回のテーマは、
ノー残業デーや有休取得義務化への反対ではありません。
もう少し別の角度というか、もっと本質的な部分について掘り下げて考えていきたいと思います。
【残業時間や有休日数で「働き方改革」は勘違い。】
結論から言うと、
「残業を減らしましょう」とか「有休を取得してください」は「働かせ方改革」ですよね?
働かせ方というとわかりにくいですが、
要するに、会社が、社員に対して設けている働くときのルールを見直しましょう。
っていうか、より厳格に守らせましょう。という話ですよね。
間違った「働かせ方改革」
よくありがちな間違いは(勘違いというレベルじゃないやつは)
ただ単に「残業させない」「有休を取らせる」ということそのものが目的化されて、しかも社員に強要されるケースです。
仕事そのものの質や量に変化が無く、単に使える時間を減らされるという事態は、もともと3分かかるゲームを2分でクリアしろと言われているようなもので、当然その難易度は上がります。
もともと残業しがちだったり、有休を取れない社員は、
現時点で仕事というゲームをクリアするのに難しさや大変さを感じていたり、逆にじっくりプレイしてハイスコアでクリアすることを目指していたり…3分を必要としているわけです。
だから、いきなり上から「残業するな」「有休取れ」と言っても、
社員はゲーム(仕事)をきちんとクリアできなくなるか、或いはスコア(成果)が落ちるリスクを伴います。
勘違いは「働き方改革」を「時間」で計ることで生まれる
さて、ここからが本論です。
現状「働き方改革」が叫ばれている背景には、雇用者が立場の弱い被雇用者に不当な長時間労働を強いているのではないかという問題意識があると思います。
確かに私も約10年営業マンをやっていましたので全ての残業に賃金が伴わないことは痛いほどよくわかっています。
しかし
そもそも、正社員の労働を「時間」で計ること自体おかしくありませんか?
仕事の「時間」に対して対価が支払われるのはアルバイトやパートタイムの契約です。
日本の多くの正社員は月給制です。
そして、あからさまな年功序列は衰退しているものの、社歴を重ねることで安定して給与が上がる仕組みも健在です。
ということはすなわち、会社としては社員に対して毎月ある一定の働きを期待し、年々その働きが向上することも期待しているわけです。
その働きの対価として毎月給料が支払われ、毎年昇給するわけです。
さて、ここで考えてみましょう。
今の時代、同じ「時間」働けば同じ成果が出るなんてことありますか?
もっと言えば、成績優秀な社員と同期の成績が最下位の社員の同じ「時間」は同じ成果ですか?
ここにも、前回書いた高度経済成長期時代のまるで機械みたいに「みんな同じ」を前提にした、旧時代の価値観が垣間見えます。
本当の「働き方」改革
さて、とは言え、実質的に社会で求められている課題は「残業を減らしましょう」「有休を取りましょう」です。
会社もその課題に応えなければブラック企業というレッテルを貼られてしまう時代です。
そういった現実の課題を踏まえて考えると「働き方改革」の本質が見えてきます。
すなわち「働き方改革」が目指していることは「労働時間の短縮」ではありません。
「時間内でいかに効率的に仕事の成果を上げられるか」ということを目指して、まさに社員自身が働き方を改善することが求められているのです。
そして、そういった流れの中で、
「同じ時間でもっと成果出してるんだから、仕事の成果で評価してよ」とか
「きちんと成果出してるんだから働く時間とか場所とか関係なくない?」という声が当然出てきます。
それが、現代において成果報酬やフレックスタイム、テレワークが叫ばれる理由でもあります。(何も働くお父さん、お母さんのためだけに推進されているわけじゃないのよ)
「働かせ方改革」ならゲーム自体の設定を変えよ
今回のテーマは「働き方改革」なので少し趣旨からは逸れますが、せっかくなので「働かせ方改革」の正しいやり方についても最後に触れておきます。
もし経営者側の立場で、社員に「残業させない」「有休を取得させる」という目標を目指すならば、まず整備すべきは社員がそれを実現できるようにするためのフレームです。
仕事というゲームステージの設定そのものを変えることです。
例えば、みんなが苦戦しがちなステージでは強力な武器を使えるようにしたり、そもそものクリアまでのステージ数を減らすことで、所要時間は減らすことができます。
仕事に置き換えれば、時間のかかる事務処理を効率化するために新しい業務システムを導入したり、一定以上の受注があった時にはアウトソースする提携事業者を探しておくなど、社員の負荷そのものを下げる経営努力が伴えば、「働かせ方改革」も社員の「働き方改革」として成功させることができます。
こういった社員の働く環境整備は、経営者側にしかできないことなので、いち被雇用者として、是非積極的に検討される社会になってほしいものです。